あけくれ心よりたえぬままに、ひたすらに祈りつづけて居るのです
病気後送の知らせを聞き、じっとして居られぬままに、貴女の母さんと幸ちゃんのお供して、百沢の岩木山神社と、貴女の一代の守り本尊でおわす、虚空蔵様へお参りして、ご全快を祈りました。心だに眞の道にかなへなばとは申しながら、はせ参じて御身近く、御看護もかなわぬ者のせめてもの心です。肉親の切なる祈りです。
神にすがり、大いなるお力に祈らずには居られぬこの心です。切ない時の神だのみとお笑い下さいませ。
あけくれ心よりたえぬままに、ひたすらに祈りつづけて居るのです。
昭和十七年六月
おば原田きぬより ミキへ
お姉さま病気だそうですね。がまんしてなおって下さい。
私の学校では、高照神社と、岩木山神社へ参拝に行きました。お守りをかってきましたから、お送りします。
昭和十七年六月二十八日
妹幸子より 入院中の ミキへ
花田ミキ著『語り継ぎたい 父母たちと私の戦中記録』
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ここ数年の日記を読み返すと、私自身、家族が入院するたびに岩木山神社にお参りに行っていました。
津軽の人間が「心よりたえぬままに、ひたすらに祈りつづけよう」と願うとき、訪れる場所が岩木山神社なのだと思います。
戦争中、何人の人が祈りをささげに岩木山神社に行ったのだろうかと想像しながら『語り継ぎたい』を読んでいます。
「虚空蔵様」は岩木山神社に隣接する虚空蔵菩薩を本尊とする岩木山求聞寺のことだと思われます。
「北門鎮護 岩木山神社」のホームページはこちらから
https://iwakiyamajinja.or.jp/
参拝時間
4月〜10月 8:00~17:00
11月〜3月 8:30~16:00
:*゜..:。明日のために、昨日を語る :.::.*゜:.。:..:*゜